いまの社会においては、性別で何かを区別する必要は減ってきたと思っています。
ただ、当事務所は、代表弁護士が女性であるからか女性の事業者様からのご相談をいただくことが多々あります。女性事業者様からのご相談の中でも、当事務所は、破産・倒産に注力しております。その理由は、依頼者様を「負のスパイラルから引っ張り出す」きっかけになると考えているからです。
本日のブログでは、女性事業者様の中でも、「外交員」としてご活躍されてきた方々について書きたいと思います。
高度経済成長期以降の日本では、性別役割分業が当然のようになり、女性は、就職しないで結婚するか、就職しても結婚すると退職するいわゆる「寿退職」が多くありました。そして、その寿退職は、就職後比較的早い時期に訪れることが多いようです。その後は、専業主婦となり、主婦業として家事をこなし、子供が生まれれば育児に追われ、仕事や社会から遠のいていきます。
結婚して専業主婦になると傍からは順風満帆に見える人生かもしれませんが、そのような中でも、夫婦間が不仲となり、離婚に至るケースはあります。
離婚をすると、多くの場合は、妻が子供を引き取って引き続き育児をしながら暮らしていきます。そのときに、夫から十二分な養育費が支払われたり、実家などから不自由のない経済的支援が得られれば、また異なる未来があるのかもしれませんが、そうでないケースは、「女手一つで子供を育てる」状況になります。
そして、いざ、子供を育て生活していく収入を確保しようとしても、社会や仕事から離れていた女性が雇ってもらえるのは、パートタイマーなど、不安定で、かつ、高収入でないことが多いでしょう。特に、子供の年齢が低い時期には、子供の世話もあり正社員として安定した賃金を得られるチャンスは、より少ないのではないでしょうか。
そこで、子供に不自由なく生活させ、希望する学校に行かせてあげられるだけの収入を得るために、一つの手法として、自分が事業者になるというケースがあります。業種問わず、営業職を、歩合制などで個人事業主として受託する形態(外交員)がその代表的な例です。
専業主婦が当たり前の時代に、そのようにして事業を始めた場合には、昭和の終わり~平成の中ごろまでは、日本の景気が良く、バブルがはじけたといっても、まだ何とか持ちこたえて、事業としてやっていくことができた、始めた当初の方法で売上を維持できた時代でした。
しかし、平成の後半から急激に拡大したインターネットにより、様々な業界でビジネスの手法が変わってきました。特に外交員のように、直接お客様のお顔を見て説明をして購入・契約してもらう形態は、インターネット(ECサイト、SNSなど)が競合となったのではないでしょうか。
そして、平成の終わりごろのリーマンショック、令和に入ってのコロナ禍などの予期しない急激な外部環境の変化により、非常に大きな打撃を受けていると思います。
それならば、「自分もインターネットで!」と思っても、高度経済成長期~バブル期前後に主婦であった方々は、今、60歳代~70歳代に差し掛かり、インターネットやSNSなどを用いて販売や営業をするのには、慣れていない方も多いと思います。また、体力的にも以前のようには動けなくなってきます。その結果、気持ちも弱ってきて、営業力も低下し、売上も下がっていくという悪循環です。
そのような中で、「いま手持ち現金がないから」と、クレジットカードでの買い物をはじめ、はじめは一括払いだったものが、分割払になり、そのうちリボ払いになり、リボ払いの高利に耐えられず、キャッシングで現金を確保する。そしてキャッシングの上限に至ると、他のカードを作る。そうやって、無我夢中でお金を返すためにお金を借り、気が付くと多重債務となり債務額は桁違いになっている、という例を多く見受けます。
本来は、売上が減ったのならば、生活水準も下げなければお金が足りなくなるのは当然です。手持ち現金がなかったら買い物をしないで帰宅しなければなりません。しかし、良かった時代を覚えていると、なかなか自分では歯止めが利かないで、多重債務になってしまうことはあると思います。
このようになってしまった場合には、債務整理を検討する必要があります。債務整理の方法は、任意整理、個人民事再生、破産などがあります。
特に、破産については、抵抗が大きい方もいらっしゃいます。恥ずかしい、カッコ悪いと思うかもしれません。しかし、破産制度の目的は「リセット・リスタート・再生」です。
人生100年の時代です。60~70代でも、まだ人生の3分の1~4分の1残っています。
残りの人生を穏やかに過ごすためには、破産も選択肢だと思います。
もし、一人で悩んで眠れないようなことがあれば、ぜひ、当事務所に相談してほしいと思っています。
弁護士に話してスッキリするとともに、債務整理の正しい知識を得て、少しでも不安を解消してほしいと思っています。